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歩行者が好んで選択する道順を可視化 ―ジオテクノロジーズ、 街のウォーカビリティを測る指標「街歩きインデックス」を開発

計測が難しかった街全体の「歩きやすさ」を示すことで、空間整備の効果測定を可能に

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ESGメタバースカンパニーのジオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長 CEO:杉原 博茂、以下「ジオテクノロジーズ」)は、当社が保有する人流データを活用して東京大学・麗澤大学の研究者らと、街のウォーカビリティを測る指標「街歩きインデックス」を共同開発しました。

今回共同開発した「街歩きインデックス」は、歩行者が好んで選択する道順や場所を示すものであり、それを地図上にスコアで可視化することで、歩行経路の選択志向を理解しやすくします。スコアが高くなればなるほど、遠回りにも関わらず選ばれる、つまり、「居心地が良く歩きたくなる街路空間」ということになります。

昨今の環境問題への対策やスマートシティの実現に向け、街のウォーカビリティに対する関心が高まっています。実際にまちづくり・賑わい創出を目的に、企業や自治体によって、歩行者向けの空間整備が進められています。 「街歩きインデックス」は、これらの空間整備を効果測定し、今後の整備指標として活用されることで、ウォーカブルな街づくりに寄与します。

浅草やスカイツリー周辺の街歩きインデックス浅草・スカイツリー周辺の「街歩きインデックス」

開発背景

街路空間を車中心から「人間中心」の空間へと再構築し、沿道と路上を一体的に活用して、人々が集まり、憩い、多様な活動を楽しむ場として進化させる取り組みが世界的に進められています。こうした施策は都市に新たな活力を生み出し、持続可能で国際的な競争力を高める一翼を担っています。

近年、国内でもこのような街路空間の再構築・利活用に関する先進的な試みが増加しています。

この背景において、ジオテクノロジーズと東京大学・麗澤大学は、街路空間に生まれた賑わいと憩いを評価するため、「居心地が良く歩きたくなる街路空間」の可視化に取り組みました。

計測手法

人々が出発地点から到着地点まで徒歩で移動する際には、最短距離を選ぶことが時間的にも体力的にも効率的です。しかし、実際には道路の勾配や雰囲気、景色や交通量の問題から最短距離の道以外を通ることが多々あります。

これらのような歩行経路の選択志向を可視化する仕組みとして、一つの歩行移動に対し、目的地への最短経路に-1点を、そして実際に選ばれた歩行経路に+1点を与えます。最短経路を通った場合-1点と+1点が与えられ0点に、最短経路ではないのに選ばれた経路には+1点、最短経路にも拘わらず選ばれなかった経路に-1点とします。このスコアが高いということは、遠回りにも関わらず選ばれる、つまり「居心地が良く歩きたくなる街路空間」ということになります。

街歩きインデックスの計測手法

ジオテクノロジーズの人流データが生み出す価値

これまで一つ一つの道路における歩行者の通行量を策定する方法は、調査員を配置してカウントする方法や、カメラを設置して通行人を認識する方法が一般的でした。

しかし、いずれの方法も現地に行き、作業をする必要がありました。さらにこれらの調査から情報を得ることができる範囲は限定的で、全体を俯瞰したデータの収集に難がありました。当社が集めている人流データは高頻度の取得間隔と高精度な位置データによって「どの方向に、どのぐらいの速度で」移動したかまで分析することができます。さらにユーザーに任意で回答してもらう属性アンケートのデータを組み合わせることで「どんな人が」移動したか詳細に観察することができます。

「いつ、どこで」「どんな人が」「どの方向に、どのぐらいの速度で」移動したか、このすべてが結びつくことで人々の行動を予測することができるようになります。このデータを使用することで、現地に行くことなく、そこを移動する人たちの行動の全容を判明させることが可能です。

「街歩きインデックス」が解決する悩み

歩行者空間の整備にはお金がかかりますが、整備をしたからと言っても、そこを歩く人たちから直接、かかった資金を回収することは難しいです。ではなぜこのような整備をするのでしょうか。それは整備を行ったエリアを歩行する人を増やし、賑わいや活気を生み出すことで、人々の健康増進や経済活動を呼び起こすためです。

この整備効果を測定する際に「街歩きインデックス」が利用できます。一定のエリア内で整備を行った場所だけスコアが高い場合や、整備前後でスコアが向上している場合などで、整備の効果を示すことが可能です。

また整備計画の段階でも、通行者にとって現状の街路がどのように認識されているのか分析するツールとしても利用ができます。特に通行者によって忌避されている道やエリアの要因を調査することで、景観の向上や防犯対策のための整備を行うなど、意思決定の指標としても利用可能です。

浅草・スカイツリー周辺の「街歩きインデックス」

今回、この「街歩きインデックス」を用いて東京都の浅草・スカイツリー周辺の道路を分析しました。 よりスコアが高い道を赤、低い道を青で表現すると以下のようになりました。

浅草やスカイツリー周辺の街歩きインデックス

観光地である浅草寺やスカイツリー周辺や隅田川沿いで特にスコアが高いということが見て取れます。この辺りは墨田区が主体となって取り組んだ北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業によって東京スカイツリー・浅草間の賑わい創出と観光回遊性向上を目的に整備が行われた地域になっており、整備効果が表れていることが伺えます。

共同開発パートナー柴崎 亮介 教授 (麗澤大学)のコメント

街の整備は市民の生活に密接に関わるものであり、その整備が市民の歩きやすさにどれほど寄与しているかを示すことは極めて重要です。

今回の研究で活用した「トリマ」の歩行軌跡データは、非常に高精度で、分析を加えることで、歩行者の「街の歩き方」が見えてきます。これは、街の計測において有益な情報となることが分かります。実際に、浅草・スカイツリー周辺をピックアップし、これまでなかった指標で街のウォーカビリティを示すことができました。

今後も人流データを分析することで、新たな効果測定が可能となり、これを活用して実際の整備効果を検証し、ますます健康な街づくりに寄与できることを期待しています。

ジオテクノロジーズとは

当社は、1994年の創業から一貫してデジタル地図を提供しています。翌年には地図ソフト「MapFan」を発売。その後、国内初のiモード地図や、カーナビ、法人向けの地図データ、位置情報ソリューションをはじめ、高度な自動運転の実現に不可欠なAD/ADAS用地図をいち早く提供しています。

また、2021年にリリースした国内DL数No.1ポイ活アプリ「トリマ」に代表されるアプリケーションのユーザーとの接点により、人の移動やその背景にある意識といった現実世界の状況「インサイト」をリアルタイムで把握することが出来るようになってきています。

当社は、これらの人流をはじめとする膨大なビッグデータと、約30年間整備してきた地理空間データを掛け合わせて最先端技術を用いて分析することにより、「今この瞬間のインサイト」を提供し、より快適でサスティナブルな世界の実現という社会貢献を目指しています。

本社所在地 東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス 22階
代表者
代表取締役社長 CEO 八剱 洋一郎
設立 1994年5月1日
事業内容 オートモーティブビジネス(高精度3D地図、ナビゲーション向け地図データ、コネクテッドサービス、モビリティサービス向けソリューション)
GISビジネス(地図アプリ開発キット、デジタル地図データベース、Web・業務システム向け地図クラウドサービス、MapFan、MapFanAssist)
アプリケーションビジネス(トリマ、トリマ広告、Geo-Research、スグロジ、住所確認サービス、人流分析サービス)