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ジオテクノロジーズ、北陸新幹線延伸後の終点「敦賀」の観光人流を調査

北陸新幹線通過地域からのゴールデンウィーク来訪は前年比48%増

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ジオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役会長:杉原博茂、代表取締役社長 CEO:八剱 洋一郎、以下「ジオテクノロジーズ」)は、北陸新幹線の延伸によって敦賀市街の観光人流がどのように変化したかを人流分析によって調査しました。

2024年3月、北陸新幹線が新たに金沢〜敦賀間を開業しました(図1右)。そこで、開業後初めての大型連休となるゴールデンウィーク(以下、「GW」)を迎えた敦賀市街の観光人流を前年のGWと比較することで、北陸新幹線延伸の影響を調査しました。調査では以下のことが分かりました。

  • 北陸新幹線延伸後の敦賀への来訪者数は前年に比べて30%増加。
  • 敦賀来訪者の多くは近隣都道府県の居住者で、来訪手段は鉄道以外(車・自転車・徒歩など)が多い。
  • 北陸新幹線が通過する7都県(福井県を除く)からの敦賀来訪者数は前年比48%増。これには北陸新幹線延伸の影響が見られる。
  • 敦賀市街における行動範囲やよく訪れるスポットが来訪手段によって異なり、北陸新幹線を含む鉄道の来訪者には敦賀駅を起点に北側のスポットが人気。

図1:敦賀市街の人流データ(左)と北陸新幹線の路線(右)

【図1:敦賀市街の人流データ(左)と北陸新幹線の路線(右)】

人流分析を支える豊富な人流データ

ジオテクノロジーズでは、移動するだけでポイントが貯まるM2Eアプリ「トリマ」を運営しており、トリマが収集した人流データは個人が特定できないよう匿名化処理した上で地図データの更新、地域振興、交通課題の解決などに活用させていただいています。

今回ご紹介する人流分析に用いたデータは、2023年4月27日〜5月10日(14日間)、および2024年4月25日〜5月8日(14日間)において敦賀市街を訪れたトリマユーザの人流データです(図1左)。図中の緑枠を分析対象エリアとしました。

北陸新幹線延伸後のGW敦賀来訪者数は前年比30%増

2024年GWにおける敦賀への来訪者数は約24万人で、前年の約18万人に比べて30%増加したことが分かりました。来訪者数は、分析対象エリアに滞在し、同エリアに居住・勤務していないユーザ数から推計しました。

日別に見ると、GW期間を通して2024年は前年より来訪者数が多いですが、特にGW前半の差が大きいです(図2)。原因としては、2024年の3連休に対して前年は2連休だったことが考えられます。

図2:日別来訪者数

【図2:日別来訪者数】

また、性別・年代別に来訪者数を見ると、10代と30代を除いて2024年GWは前年より増加していました(図3)。女性より男性の方が多く、年齢では40代が最も多いです(注:60代以上はまとめています)。

図3:性年代別来訪者数

【図3:性年代別来訪者数】

GW敦賀来訪の多くは近隣都道府県から鉄道以外の手段による来訪者

敦賀への来訪者数を居住都道府県別に見ると、敦賀のある福井県居住者が最も多く(図4)、続いて、滋賀県、大阪府、愛知県と、近隣の都道府県居住者ほど来訪が多いです。また、多くの都道府県で2024年GWの敦賀来訪が前年より増えていました。

来訪者全体の来訪手段としては、鉄道以外(車・自転車・徒歩など)が多いことが分かりました。特に敦賀来訪の多い近隣の都道府県からの来訪手段として鉄道以外が多い傾向にあります。一方、神奈川県、東京都など一部の遠方の都道府県からの来訪手段としては鉄道の割合が高くなっています。

図4:居住都道府県別・手段別来訪者数(上位15)

【図4:居住都道府県別・手段別来訪者数(上位15)】

北陸新幹線が通過する都道府県からのGW敦賀来訪者数は前年比48%増

北陸新幹線が通過する都道府県のうち福井県を除いた7都県に絞ると、群馬県以外は2024年GWの敦賀来訪者数が増加しており、7都県全体では前年比48%増でした(図5)。特に群馬県と新潟県を除く5都県では、前年からの増加に北陸新幹線延伸の影響が見て取れ、来訪者数は前年比43%増でした。ただし、新潟県からは北陸新幹線による来訪は少ないですが、全体の来訪者数は大幅に増加しています。群馬県からの来訪が少ないのは北陸新幹線の停車本数が少ないこと、新潟県については北陸新幹線が南端の一部しか通らないこと、がそれぞれ原因として考えられます。

図5:居住都道府県別・手段別来訪者数(北陸新幹線通過都道府県)

【図5:居住都道府県別・手段別来訪者数(北陸新幹線通過都道府県)】

鉄道以外による来訪者の方が鉄道による来訪者より観光範囲が広い

敦賀市街における人流を来訪手段ごとに可視化(図6)することで、鉄道以外の手段による来訪者の方が鉄道による来訪者より敦賀市街における行動範囲が広いことが分かりました。図は人流データをヒートマップにしたもので、濃い赤色ほど多くの来訪者がいたことを意味します。図は、鉄道以外の来訪者の多くが様々なところを訪れていることを示しています。おそらくマイカーなどで来訪しているためだと考えられます。

一方、北陸新幹線以外の鉄道の来訪者は行動範囲が狭くなっており、北陸新幹線の来訪者はさらに行動範囲が狭くなっています。北陸新幹線来訪者の多くがいた場所は、敦賀駅から敦賀シンボルロードを経て氣比神宮へ至る道路上で、これは敦賀観光協会(https://tsuruga-kanko.jp)でモデルコースとしても紹介されています。

図6:2024年GWにおける来訪者の人流ヒートマップ

【図6:2024年GWにおける来訪者の人流ヒートマップ】

また、来訪手段の違いによって滞留スポット、つまり人気の観光スポットの傾向が異なることも分かりました。これは、独自のアルゴリズムによって人流データから滞留スポットを抽出することで明らかになりました(図7)。図中の赤枠で示されたエリアが抽出したスポットで、色が濃いほどより多くの来訪者が長く滞留したことを意味します。図から、来訪手段が異なると滞留スポットの傾向が異なることが分かります。鉄道以外の来訪者は敦賀駅よりも気比の松原や日本海さかな街に多く滞留していますが、鉄道の来訪者は敦賀駅前や赤レンガ倉庫に多く滞留しています。ただし、氣比神宮については来訪手段によらず多くの滞留がありました。

図7:2024年GWにおける来訪者の滞留スポット

【図7:2024年GWにおける来訪者の滞留スポット】

さらに、滞留スポットにおける人流の特徴を抽出して、そこにどのような人々が集まったのかを調べることもできます(図8)。例えば、気比の松原スポットには岐阜県や愛知県から鉄道以外の手段で来訪した50代が多く集まっていました。

一方、敦賀駅前スポットに多く集まったのは福井県内から鉄道によって来訪した人々で、気比の松原より少し幅広い世代でした。

図8:滞留スポットの人流特徴

【図8:滞留スポットの人流特徴】

最後に

今回は、北陸新幹線の延伸と敦賀市街の観光集客の関係を対象とした人流分析による調査をご紹介しました。この調査では、北陸新幹線延伸によって路線通過地域からの来訪者数が増えたこと、北陸新幹線を含む鉄道による来訪者と鉄道以外による来訪者では訪れるスポットが異なることが分かりました。ご紹介したような分析技術は、地域振興や交通課題の解決、あらゆる商材のエリアマーケティングにもご活用頂けます。

ジオテクノロジーズは、今後も人流分析の技術向上を行いながら、様々な課題の解決、社会貢献に取り組んで行きます。(執筆:デジタル データアナリティクス 池田)

ジオテクノロジーズとは

当社は、1994年の創業から一貫してデジタル地図を提供しています。翌年には地図ソフト「MapFan」を発売。その後、国内初のiモード地図や、カーナビ、法人向けの地図データ、位置情報ソリューションをはじめ、高度な自動運転の実現に不可欠なAD/ADAS用地図をいち早く提供しています。

また、2021年にリリースした国内DL数No.1ポイ活アプリ「トリマ」に代表されるアプリケーションのユーザーとの接点により、人の移動やその背景にある意識といった現実世界の状況「インサイト」をリアルタイムで把握することが出来るようになってきています。

当社は、これらの人流をはじめとする膨大なビッグデータと、約30年間整備してきた地理空間データを掛け合わせて最先端技術を用いて分析することにより、「今この瞬間のインサイト」を提供し、より快適でサスティナブルな世界の実現という社会貢献を目指しています。

本社所在地 東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス 22階
代表者
代表取締役社長 CEO 八剱 洋一郎
設立 1994年5月1日
事業内容 オートモーティブビジネス(高精度3D地図、ナビゲーション向け地図データ、コネクテッドサービス、モビリティサービス向けソリューション)
GISビジネス(地図アプリ開発キット、デジタル地図データベース、Web・業務システム向け地図クラウドサービス、MapFan、MapFanAssist)
アプリケーションビジネス(トリマ、トリマ広告、Geo-Research、スグロジ、住所確認サービス、人流分析サービス)