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ジオテクノロジーズ、人流データに基づく交差点リスク推定モデルを開発

身近な交差点に潜む交通事故のリスクをAIで算出し、把握可能に

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ESGメタバースカンパニーのジオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役会長 杉原 博茂、代表取締役社長 CEO 八剱 洋一郎、以下「ジオテクノロジーズ」)は、当社が保有する人流データとAI技術を組み合わせることで住宅街にあるような身近な交差点の事故リスクを算出する「交差点リスク推定モデル」の開発に成功しました。

本開発により、これまで算出が難しいとされてきた、住宅街にあるような生活道路で構成される小さな交差点に対しても事故リスクを算出することができるようになりました。これにより、普段、通勤・通学等で利用する身近な道路に潜む危険な交差点を事前に把握することが可能となります。

危険な交差点が把握できることで、対象の交差点を避ける安全性の高い運輸ルートの提示、ドライバー及び周辺住民への注意喚起、安心安全の向上に向けた道路整備などの、事故を未然に防止する取り組みへの貢献に期待できます。

開発の社会的背景

国土交通省の令和4年の統計によると、日本国内の交通事故死者数は平成7年*からは順調に減少を続けており、令和4年には過去最少となる2,610人を記録しています。その一方、生活道路における交通事故件数の減少幅はとても小さく、令和4年では4件に1件が生活道路における事故となっています。このため、今後の更なる削減を見込むには、生活道路における事故を如何に減少させるかということが最重要課題となっています。

*国土交通省「交通事故の状況」

交差点リスク推定モデルの特長

当社が開発した交差点リスク推定モデルの最大の特色は、人流データから全ユーザーの通行軌跡を生成することにより、交差点における通行パターン(直進・右折・左折)を識別し、交差通行量と合流通行量をリスク推定因子として取り入れている点にあります。

例えば、青図のように互いに向かい合った直進は互いに接触はしにくく、赤図のように交差する直進同士や合流する通行同士は互いに接触する恐れがあります。このように交差通行量、合流通行量の推定因子を取り入れることで単純な通行量からの推定と比較し効果的な推定を行うことができます。

交差通行量と合流通行量

当社が保有する人流データには車両のみならず、歩行者の情報も含まれているため、歩行者に特化した通行軌跡を作成することが可能です。歩行者の特徴を活用することで、車両同士の事故リスクを推定できることに加えて、車両と歩行者の事故リスクを推定できることも特長といえます。

研究開発の概要

当社が保有する人流データから算出した通行パターンを加味した車両の通行量や歩行者の通行量、交差点の構造などの各交差点の特徴を元に、警察庁で公開している交通事故情報*を正解データとして、交差点における交通事故リスクを推定するモデルを作成。特定エリアにおけるリスク推定結果と事故情報を比較し精度検証を行いました。

*警察庁 交通事故統計情報のオープンデータ

利用データ

本調査で構築した各モデルでは以下データを使用しています。

交通事故情報
期間 2019年1月〜2022年12月 の4年間
対象 車両同士の事故、車両と歩行者の事故
人流データ
期間 2022年6月1日〜2022年6月30日の1ヶ月間
調査対象

対象エリア毎に車両同士の事故のリスク、車両と歩行者の事故のリスクを推定し、それぞれ評価しました。

対象 生活道路で構成される信号のない交差点
対象エリア 4エリア 都市部(事故多い/少ない)、地方都市部(事故多い/少ない)  *
*警察庁 統計表をもとに算出
実験の結果

リスク推定の結果のうち、ある一定のリスク値を超えた地点を危険な交差点と設定し、交通事故統計情報による実際に事故が起きた交差点と比べることで精度検証を行いました。

その結果、危険と判定された交差点数は115件と全体の13,787件に比べると非常に少ない件数にも関わらず、その中で実際に事故が発生していた件数は70件と高い割合で一致することが確認できました。

これは、実際に事故が起きていた危険な交差点を高い精度で割り出すことが出来たということと共に、外した45件の交差点に対しても事故は起きていないものの、事故が起きている交差点と同様の特徴をもった潜在的に危険な交差点であるということを示しています。

リスクが高い交差点と事故情報の関連表

危険と判定した交差点の内訳

交差点リスク推定モデルにおける特徴量の寄与度

交差点リスク推定モデルにおける各事故種類のリスク推定において、特徴の寄与度を大きい順に抽出したところ、車両同士の事故、車両と歩行者の事故のいずれにおいても、交差通行量と合流通行量が高い割合で寄与していました。また、車両と歩行者のリスク推定においては歩行者に関する特徴も高い割合で寄与していました。

これらのことから、抽出した特徴の中でも、特に交差通行量と合流通行量がリスク推定の精度向上に大きく貢献していることがわかります。さらに、車両と歩行者の事故リスクを推定する場合、最も寄与している特徴が歩行者の交差通行量であることから、歩行者の情報が推定の精度を高めるために欠かせない重要な要素であるといえます。

寄与度

今後の展開

調査の結果、構築した交差点リスク推定モデルが高い精度で事故リスクを推定できることが確認できました。

今回は時間帯を考慮しない交差点の普遍的なリスクを推定するモデルを構築しましたが、交差点の通行量というものは朝・昼・夕方といった時間帯によって刻々と変化するものであり、リスクもそれに合わせて変化することが見込まれます。当社の人流データは時間の情報を有していることから、この時間帯ごとのリスクを推定するモデルの開発を鋭意進めています。

また、対象交差点の範囲を拡張して、信号機がある交差点も含めてリスク推計できるようにモデルを構築した上で、エリアを全国に拡張して評価するなど、製品化に向けた取り組みを進めてまいります。

お問い合わせ

今回の「交差点リスク推定モデル」を活用したい企業様は以下のURLよりお問い合わせください。

ジオテクノロジーズとは

当社は、1994年の創業から一貫してデジタル地図を提供しています。翌年には地図ソフト「MapFan」を発売。その後、国内初のiモード地図や、カーナビ、法人向けの地図データ、位置情報ソリューションをはじめ、高度な自動運転の実現に不可欠なAD/ADAS用地図をいち早く提供しています。

また、2021年にリリースした国内DL数No.1ポイ活アプリ「トリマ」に代表されるアプリケーションのユーザーとの接点により、人の移動やその背景にある意識といった現実世界の状況「インサイト」をリアルタイムで把握することが出来るようになってきています。

当社は、これらの人流をはじめとする膨大なビッグデータと、約30年間整備してきた地理空間データを掛け合わせて最先端技術を用いて分析することにより、「今この瞬間のインサイト」を提供し、より快適でサスティナブルな世界の実現という社会貢献を目指しています。

本社所在地 東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス 22階
代表者
代表取締役社長 CEO 八剱 洋一郎
設立 1994年5月1日
事業内容 オートモーティブビジネス(高精度3D地図、ナビゲーション向け地図データ、コネクテッドサービス、モビリティサービス向けソリューション)
GISビジネス(地図アプリ開発キット、デジタル地図データベース、Web・業務システム向け地図クラウドサービス、MapFan、MapFanAssist)
アプリケーションビジネス(トリマ、トリマ広告、Geo-Research、スグロジ、住所確認サービス、人流分析サービス)