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デジタル地図を活用して、交通事故ゼロへ

AIを利用して歩道の安全性を見える化

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ジオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長 CEO:杉原 博茂、以下「ジオテクノロジーズ」)は、人工知能(AI)クラウドプラットフォームを提供するH2O.ai, Inc.(本社:米国カリフォルニア州マウンテンビュー、CEO兼 創設者:Sri Ambati、以下「H2O.ai」)を採用し、車載カメラ映像から歩道の安全性を評価するAI技術を開発しました。

この技術は、歩道の安全性を確認し、事前に危険個所を特定することができます。
これにより、以下のようなことが可能になります。

  1. 学校・保護者向けに、通学路の安全性確認や危険個所の特定
  2. 自動車・ナビメーカーや物流ベンダー向けに、歩行者の安全性を取り入れた経路探索、自動運転
  3. 自治体、都道府県警向けに、ガードレール、規制など歩道の安全対策を踏まえた都市計画

将来的には人流データを活用し、全国網羅的な歩道の安全性評価マップを作成していく予定です。

図:都心の歩道安全性評価マップ

背景

登下校中の児童を巻き込む重大事故をきっかけに学校・教育委員会・道路管理者・警察・自治体などによる通学路の点検が実施され、整備が進んでいますが、通学路の危険個所がゼロになった訳ではありません。

また先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の開発・搭載を進めるカーメーカーにおいては、交通事故ゼロ社会を目指す取り組みが活発化しています。

このような背景を受けて当社が目指すのは、全国網羅的な歩道の安全性を地図上へマッピングし、事前に危険個所を特定、様々なリスクを予測可能にすることです。

例えば、歩行者保護を取り入れた経路探索をナビゲーションシステムや自動運転のシステムに組み込むことができれば、通学路などの歩行者事故を防ぐことができると考えています。

歩道の安全性を評価するAI技術について

当社が開発したAI技術では、走行画像の左右に映るシーンから歩道の安全性を5段階で識別します。その識別精度は97%になります。今後も精度向上を目指した開発を進めていきます。

この識別結果と撮影時の位置情報から地図上に歩道の安全性をプロットした地図を作成することも可能です。(図:都心の歩道の安全性評価マップを参照)

技術のイメージ

AI技術の開発における課題解決

AI開発において、「コンテクスト理解*」という大きな懸念がありました。AIによる画像認識の目的は、歩行者の視点から見た安全性を評価することです。単にフェンスやガードレールを認識する処理とは異なり、歩行者保護を目的としたフェンスなのか、車両や人の落下防止を目的としたフェンスなのか、は周囲の状況を認識して識別する必要があります。

*「コンテクスト理解」とは、文脈を理解することです。単語の意味だけではなく、複数の単語が連なった文脈の意味を理解することです。

図:同じガードレールでも周辺の状況(コンテクスト)によって意図が変わる

ジオテクノロジーズは、自社が保有する28億枚(280テラバイト)の大量の走行画像から様々なシチュエーションの教師データを作成し、学習させることで、正しくコンテクストを理解し歩道の安全性を識別出来るAIモデル開発を実現させることができました。

お問い合わせ

今回のAI技術を活用するパートナーを募集しています。詳しくは、下記までお問い合わせください。

「H2O.ai機械学習プラットフォーム」の活用

大量の走行画像から教師データの作成・学習を実現するために、H2O.aiが提供する機械学習プラットフォーム「H2O AI Cloud」を採用。それにより環境構築から学習・テストまで通常2~3週間かかる作業を約1日で完了させることが出来ました。

またH2O AI Cloudの「グリッドサーチ機能」を用いて複数のAIモデルから最も精度が高いモデルを探索することで、従来技術で検証していた時の識別精度68%が、97%まで飛躍的に向上しました。

H2O.aiのCEO兼 創設者であるSri Ambati のコメント

H2O.ai, Inc.は、ジオテクノロジーズ様による「歩道の安全性を評価するAI技術」のリリースを歓迎いたします。地図情報の開発において、AIは自動運転技術、物流の最適化、交通安全の確保、人流データの分析、小売業のマーケティングなど幅広い分野で活用可能であり、今回、当社のAI技術がジオテクノロジーズ社の歩道安全性評価に役立てることは非常に嬉しく思います。膨大な量のデータを手作業で処理するのは非効率ですが、H2O AI Cloud では、HydrogenTorch などの深層学習に特化したツールを使用して、画像や動画などのデータも高速に処理し、かつ精度の高いモデルを構築できます。

AI技術の導入にあたり、運用課題もサポート体制も整え、簡単に活用いただくことで業務負荷の軽減や労働時間の短縮などの課題も解決し、企業の社内業務効率化に貢献できるものと確信しております。

H2O.aiとは

H2O.ai は、企業・団体のAIの民主化の実現を支援する大手AI クラウド企業です。

自動機械学習(AutoML)の分野を先導する企業であり、33 人の Kaggle マスターを社員として抱え、その技術力を、強力かつ容易に利用可能なAI クラウド ツールに集約しています。H2O.ai 社の主要製品であるDriveress AI、Hydrogen Torch、Document AI,MLOps などの製品は、世界中で20,000 以上のグローバル組織と Fortune 500 の半分以上の企業に導入されております。

代表者 柿崎 修
事業内容 AIの専門知識がなくても、ノンコードで高精度なAIモデルを生成できる機械学習ソフトウェアの販売
ホームページ https://h2o.ai/ja/
ジオテクノロジーズとは

当社は、1994年の創業から一貫してデジタル地図を提供しています。翌年には地図ソフト「MapFan」を発売。その後、国内初のiモード地図や、カーナビ、法人向けの地図データ、位置情報ソリューションをはじめ、高度な自動運転の実現に不可欠なAD/ADAS用地図をいち早く提供しています。

また、2021年にリリースした国内DL数No.1ポイ活アプリ「トリマ」に代表されるアプリケーションのユーザーとの接点により、人の移動やその背景にある意識といった現実世界の状況「インサイト」をリアルタイムで把握することが出来るようになってきています。

当社は、これらの人流をはじめとする膨大なビッグデータと、約30年間整備してきた地理空間データを掛け合わせて最先端技術を用いて分析することにより、「今この瞬間のインサイト」を提供し、より快適でサスティナブルな世界の実現という社会貢献を目指しています。

本社所在地 東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス 22階
代表者
代表取締役社長 CEO 八剱 洋一郎
設立 1994年5月1日
事業内容 オートモーティブビジネス(高精度3D地図、ナビゲーション向け地図データ、コネクテッドサービス、モビリティサービス向けソリューション)
GISビジネス(地図アプリ開発キット、デジタル地図データベース、Web・業務システム向け地図クラウドサービス、MapFan、MapFanAssist)
アプリケーションビジネス(トリマ、トリマ広告、Geo-Research、スグロジ、住所確認サービス、人流分析サービス)