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准教授鎌田 真光
東京大学大学院医学系研究科
公共健康医学専攻 健康教育・社会学分野

歩行行動を通じた人々の健康の実現
健康×人流データ

歩数でわかる“まち”の健康格差
― 120万人分のスマホ歩数データから見えた、自治体ごとの運動量の違い ―

背景:広がる運動不足、見えない地域差

身体活動が健康に欠かせないことはよく知られていますが、世界的に「運動不足」は深刻な課題です。日本でも、日常的な身体活動の不足が蔓延していると指摘されていますが、環境の影響も大きいため、どの自治体に住んでいるかによっても、“歩く量”が大きく異なる可能性がありました。

従来は国単位や都道府県単位での調査が主でしたが、基礎自治体(市区町村)単位での客観的な歩数データ分析は、全国規模では行われてきませんでした

研究概要:スマホアプリで100万人超の歩数を可視化

本研究では、2022年11月1日~30日にかけてジオテクノロジーズが収集した約120万人分のデータを使用。対象となった自治体は全国997にのぼり、自治体の人口規模ベースでは、日本の人口の約99.4%をカバーしています。

活用データ
  • 歩数データ
  • 推定居住地情報(自治体単位)
  • 年齢・性別・学歴・収入などの属性

研究で解明したいこと:どのまちで「よく歩かれている」のか?

よく歩く人と歩かない人でどのような属性の違いがあるのか、またどのような場所に住んでいる人が歩きやすいのか。これらのデータを掛け合わせて「人々が歩きやすいまち」に必要な要素を解明することを目的に研究を実施しています。

自治体の「ウォーカビリティ」に注目を

都市計画や交通政策、まちづくりにおいて、「歩きやすいまち=健康に過ごしやすいまち」という視点はますます重要になります。本研究は、これまで見えなかった自治体ごとの身体活動の状況を科学的に可視化した初の大規模研究であり、以下のような政策・施策に活用が期待されます。

  • 自治体ごとの健康行動格差の可視化と政策評価
  • 高リスク層(不活動層)の特定と対策設計
  • 歩行環境改善、公共空間整備へのエビデンス提供
  • 企業や保険者との連携による行動変容支援

今後の展望:誰もが体を動かしやすい社会へ

今回の分析はあくまで第一歩です。今後は、各地域の様々な環境の変化や政策・取り組みの評価への応用を含め、誰もが“体を動かしやすいまち”の条件分析や実装支援を進めていきます。

また、アプリなど民間サービスと連携した大規模データ利活用の可能性にも注目が集まっています。私たちの行動が、まちづくりを変える。そんな未来に向けた新しいアプローチが、ここから始まります。

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キーワード

  • 歩数データ
  • 自治体間格差
  • 健康都市
  • ウォーカビリティ
  • スマートヘルス
  • 運動疫学
  • 空間疫学
  • 公衆衛生